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![]() Zeiss Ikon SW / COLOR SKOPAR 21mm F4 / Kodak 400TX / 名古屋 2008 この世の全部を敵に回して/白石一文 とりあえず、今、なにかしら幸せだなと感じている人は読まない方がいい。よほどの覚悟が無いと、そのすべてを否定される事になる。人は、幸福だと感じている事を疑いもせず陶酔している時が最も救われた状態だ。それをわざわざ壊す必要などない。 不幸で死にたいと思っている人も読まない方がいい。死をもって救われると思っている人が、それを否定されたとしたら、はたして受け入れられるだろうか。死に対する憧れが生命力になっているのなら、それはそれで1つの生き方だ。 この本に出てくる告白文を書いている主人公は、人として間違いなく失格だ。だけど、この主人公はオレそっくりだ。救いようがない。ただしそれは、人としてこうあるべきとして一般的通念において失格であって、そもそもオレはあるべき人としての道すら疑っているので、自分が人間失格であろうとも、その事に傷心したりはしないのだ。中にはオレが小学生の時にふと思いついてしまい、そのまま恐くて眠れなくなった輪廻転生についての概念も書かれていて、あるべき人の道を理解しつつも、懐疑心を持ち、乖離してゆく自分自身をこの本が最後にどうやってまとめてくれるのか。ストーリーが気になって読み進める感覚ではなくて、もはやラストまで読み進めても、最後まで救いの手が差し延べられないとしたら自分自身どうすればいいのか。せめて最後に一筋の光を見せてくれないかと懇願する思いで読んだ。 多くの人がこの本を受け入れられないのは、まずもって自らをことごとく否定するものを受け入れる事が困難であること。あまりにもストレートに書かれていて、それは難しい表現を排除しているだけなのだけれど、表面上軽く感じられ、文学として軽んじやすい事。自分を客観視出来ない人間は、この本を受け入れる事によって自分が崩壊することを嗅覚で感じる故に、認めるわけにはいかないのだろう。 そこで、じゃぁオレが選ばれた人間のように聞こえるかも知れないけれど、決してそうではない。ごく一般的な幸せというものに包まれて生活出来ている人。そして、幸せではないと感じ、そのベクトルが死へ向かう人。おおよそはこのどちらかだろうが、実はそのどちらにも属さない人がいる。幸せであり、生きたい人。幸せではなく、死にたい人。ただどちらにも属さないだけの事だ。あらゆる物(それは自らをも含む)を疑い、主観的に見たり、考えたりせず、ニュートラルであることを重んじる。どこへ向かうかと言われれば、無なのかもしれない。 読み終えて、オレは救われた気がした。ラスト数ページまでは、ただ自分の思想を再確認するような作業であったけれど、その先に進むべき道しるべはちゃんとあった。 本をとじた時、なぜか小学生だったオレが下校途中に車道を這っていたカタツムリを拾い上げ、近くに咲いていた紫陽花の葉っぱに乗せてあげた事を思い出した。 |
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